216 研究系及び研究施設の現状
青 野 重 利(教授) (相関分子科学第一研究部門兼務)
*)
A -1)専門領域:生物無機化学
A -2)研究課題:
a) 一酸化炭素センサータンパク質 C ooA の構造と機能に関する研究 b) 酸素センサータンパク質 HemA T の構造と機能に関する研究
A -3)研究活動の概略と主な成果:
a) 紅色非硫黄光合成細菌中に含まれる転写調節因子C ooA は,一酸化炭素代謝反応に関与する酵素系の発現を転写レ ベルにおいて制御している。C ooA は一酸化炭素を生理的なエフェクターとして利用しており,一酸化炭素存在下に おいてのみ,転写活性化因子としての活性を獲得する。C ooA は,一酸化炭素センサー部位として,プロトヘムを有し ており,ヘムに一酸化炭素が結合することにより活性化される。このような特異な性質を有するC ooA の構造活性相 関を解明することを目的とし,C ooA の大量発現系の構築,精製したC ooA の活性中心の構造,反応機構を遺伝子工学 的手法および物理化学的手法を用いて明らかにした。
b) 枯草菌中に含まれるHemA T は,本細菌の酸素に対する走化性制御系において酸素センサーとして機能するシグナ ルトランスデューサータンパク質である。本研究では,大腸菌におけるHemA T 大量発現系の構築に成功した。また, 各種分光学的測定により,HemA T 中に含まれるヘムの諸性質を明らかにした。
B -1) 学術論文
S. AONO, T. KATO, M. MATSUKI, H. NAKAJIMA, T. OHTA, T. UCHIDA and T. KITAGAWA, “Resonance Raman and Ligand Binding Studies of the Oxygen Sensing Signal Transducer Protein HemAT from Bacillus subtilis,” J. Biol. Chem. 277, 13528–13538 (2002).
B -3) 総説、著書
青野重利 , 「ヘムを活性中心とするセンサータンパク質の構造と機能」, 生物物理 42, 230–235 (2002). 青野重利 , 「微生物におけるC Oの受容システム」, 医学のあゆみ 201, 733–736 (2002).
青野重利, 「一酸化炭素による遺伝子発現制御―C Oセンサーとして機能する転写調節因子C ooA の構造と機能」, 化学 と生物 40, 206–210 (2002).
B -4) 招待講演
S. AONO, “Signal transduction and gene regulation by hemeproteins that sense gas molecules,” 2nd International Conference on Porphyrins and Phthalocyanines (ICPP2), Kyoto (Japan), July 2002.
B -6) 学会および社会的活動 学会誌編集委員
J. Biol. Inorg. Chem., Editorial Advisory Board (2002- ).
研究系及び研究施設の現状 217 C ) 研究活動の課題と展望
これまでの研究において,一酸化炭素,酸素などの気体分子が生理的なエフェクター分子として機能するセンサータンパク 質が,ヘムを活性中心として含む,これまでに例のない新規なヘムタンパク質であることを明らかにしてきた。今後は,これら のヘム含有型センサータンパク質の構造・活性相関の解明を目指して研究を進めたい。
*)2002 年 5月 1日着任